【第10回】クロスフィールド・トーク -「次世代のオヤジ輩出で、日本のイノベーションを支えろ」- 橋本正洋×赤羽良剛

2015年6月25日

責任の取れるトップがいなくなったことで、日本のイノベーションが停滞している。言い過ぎかもしれませんが、失敗を恐れる、失敗を良しとしない日本において、責任のとれる「オヤジ」を輩出することこそがイノベーション活性化への道かもしれない。日本のイノベーション政策において陣頭指揮を執ってきた橋本正洋氏に、日本における知的財産の戦略的活用、イノベーション意識の実情について伺った。

「次世代のオヤジ輩出で、日本のイノベーションを支えろ」

赤羽 橋本さんは、グローバルな視点からこれまで日本におけるイノベーションを見てこられました。現在、日本企業のイノベーションは活発に展開されているとお考えですか?

canvas-10-02橋本 日本企業のイノベーションの能力は、最近とみに衰えているとのおそれがあると考えます。もちろん、ハイブリッド自動車や様々な新エネルギー開発、機能性部品などでは世界シェアを確保しているものの、液晶テレビのようにコモディティ化しつつある製品分野では国際競争力を喪失していると言えます。

オープンイノベーション戦略の展開へ一からみなおし、スピード感を持ってベンチャーを活用していく体制を作らないと未来はないでしょう。

赤羽 では、日本企業の「知財」活用は順調ですか?

橋本 日本はかつて知財立国として特許出願数も世界一でしたたが、最近中国に数では抜かれています。トップ企業は国際的に知財戦略を展開していますが、今後の課題は、いわゆる「オープン・クローズ戦略」であり具体的には、知財、国際標準、営業秘密の戦略的バランスです。

赤羽 これらの話から推測すると、いまの日本企業のトップは責任が取れない、また思い切りやスピード感がないなど、男気のようなものが感じられませんね。いわゆる「ワンマン社長」や「オヤジ」的な役割を担う人材が不足しているのでしょうか?ここでいうオヤジは性差ではなく、組織内の役割を意味するために使いたいのですが、さて、これからの「日本の知財、活性化」を見据えて、日本を支える人材をどのようにして生み出すべきでしょうか?

canvas-10-03橋本 中堅の人材にはMOT(技術経営)戦略を学び直し、イノベーションプロセスを基礎から理解してほしいですね。若者には世界に出て、起業できる人材が少しでも多く出てきてほしいのです。すでにそういった人材もシリコンバレーで活躍しつつありますよ。

赤羽 世界へ出て、起業をできる、つまり裸一貫、一人でも戦える人材に自らを育て上げることが必要なのですね。いつまでも今のオヤジたちが元気でいるとは限りません。自らが「オヤジ」へと成長する気概がカギになりそうですね。