【第11回】クロスフィールド・トーク -「オープンイノベーションとしてのセーフノロジー」- 向殿政男×赤羽良剛

2015年8月28日

誰もが求めてやまない安心、安全。しかし、個人、業種、業界、フェーズにより求められるものは常に変化するためその判断基準は様々である。あらゆる状態において安心、安全であると判断できる基準となる指針はないのだろうか。平成27年「安全功労者内閣総理大臣表彰」を受賞した日本の安全学のエキスパート、向殿政男名誉教授に伺った。

「オープンイノベーションとしてのセーフノロジー」

赤羽 向殿先生は安全を仏教の曼荼羅になぞらえて表現なさろうとしています。とてもユニークな発想だと思いますが、どんな意味合いが込められているのでしょうか?

canvas-11-02向殿 各業種、製品などについて個別に安全を考えた時、求められる安全の状態は異なるのですが、実は、「安全」という概念には共通の構造があるのです。これを曼荼羅の構図にあてはめて表現してみようと思ったのがきっかけです。

赤羽 曼陀羅思想とは、いくつもの重なる課題を統合し、総合的に考え、表現するものだと私は捉えています。ますます細分化が進む学問、研究の世界を曼荼羅模様に集約することで、先端研究が彩りとして浮き立ってくるという意味ではとてもユニークです。まさに、オープンイノベーションのあるべき姿と共通しますね。

向殿 曼荼羅様の「絵図」は普遍的な概念なのです。各業種、業界、フェーズの状況を書き込んでいくと、その業界、業種、フェーズの状態が浮かび上がってくるのです。一方で、そこには「安心」という個々の感覚も反映されてきます。曼荼羅を形成していくことによって、浮かび上がる問題点などを話し合うことで、この感覚的な部分の充足も図れるのではないかと考えます。

canvas-11-03赤羽 そう考えると、安全についての共通な構造を抽出し、持続的に内容をアップデートする必要がありますね。各分野における専門家の見解、現場の声などを反映していくためにはオープンイノベーションの手法が必要となりますね。

向殿 安全曼荼羅は、単独では作り上げることはできません。様々な分野、立場の違う人たちが安全曼荼羅という「枠組み」を利用してあらゆる安全について考える機会を提供したいと考えています。これらの活動を通して、徐々に安全曼荼羅が充実するでしょう。また、違った分野の人の考え方や技術に触れて自分の分野にフィードバックできると共に、異分野の経験や考え方に触発されて、新しい安全の技法や思想が生まれる可能性が高いと思われます。